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IOCが東京五輪の中止・無観客開催・延期についていよいよ決定か!?
オリンピックの開催の決定は、大会組織委員会にも開催都市にも開催国の政府にもありません。決定権を持つのは、国際オリンピック委員会(IOC)です。
写真は、IOCのバッハ会長。東京五輪の命運を握る人物ですね。

そのIOC(国際東京オリンピック協会)が、3月17日(火)、臨時理事会(電話会議)を開催する、ということです。
世界的な新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、どの競技でも、予選大会の中止や延期が相次いでいます。
また、日本のプロ野球・Jリーグや、米国の大リーグやNBAなどのプロスポーツも、中断や延期が広がっています。
また、3月17日の未明には、安倍晋三首相が、G7首脳会議(テレビ会議)の後、東京五輪について、「人類が新型コロナウイルスに打ち勝つ証しとして、完全な形で実現することで主要7カ国(G7)の支持を得た」と話しています。

「完全な形」というのは、無観客等の規模を縮小した形での開催は望まない考えを示したものとみられます。
これまで、IOCでは、予定通り準備する姿勢を示しつつも、「世界保健機関(WHO)の助言に従う」と表明しています。
こうした下で、IOCが、東京五輪(オリンピック、パラリンピック)について、延期や中止をいよいよ決定するのか、注目されます。
東京五輪の中止・無観客開催・延期の問題点を整理!
この記事では、東京五輪が「中止」・「無観客開催」・「延期」となる場合の問題点について整理します。
五輪は、本来は選手(アスリート)が主役ですが、世界最大の商業イベントとなっており、開催都市やテレビ局・スポンサー企業など、様々な関係者の利害が絡み合っています。
①東京五輪が「中止」
選択肢その1が、「中止」の決定です。
オリンピックは、過去5回中止になっていますが、いずれも戦争によるもの。ウイルスの感染拡大による中止となれば、史上初めてのことです。
東京五輪の「中止」が、日本にとっても、最悪の選択肢でしょう。
これまで東京五輪に向けてつぎ込んできたすべての準備が無駄になってしまい、経済への悪影響は極めて大きなものになります。
また、賛成・反対色々な意見がありつつ、東京五輪は、過去数年、東京五輪は日本の大きな目標となってきました。
それが急に中止・ゼロになってしまうことの精神的ダメージも計り知れません。
五輪に向けて準備を進めてきた選手達にも、突然出場の夢が断たれてしまいます。選手寿命が短い競技も多く、「4年後を待て」とはとても言えません。
IOCとしても、五輪が中止となれば、放映権料やチケット代も1銭も入らなくってしまいます。
また、最近、巨額の費用が掛かる五輪の招致に消極的な都市が増えてきています。
さらに開催都市が「中止」で大損害という先例を作ってしまうと、2024年の夏季大会はパリで決定していますが、その後招致を行う都市がなくなってしま惧れもあります。
今後の五輪運営としてもウイルスで「中止」という形は避けるのではないか、と考えられます。
②東京五輪を「無観客開催」
では、選択肢その2が、五輪を無観客で開催することです。
これにより、チケット代の払戻し等の問題は残りますが、IOCとして、少なくともメインの収入である放映権料は確保できます。
しかし、無観客だと、大会は大きく盛り上がりを欠く形になってしまうでしょう。
これは、大会としての価値を大きく下げることになってしまいます。
また、選手だけで1万人以上が選手村で一緒に過ごすため、スタッフも含めて、感染拡大の原因となってしまうリスクは否定できません。
万一、開催期間中に選手達に感染が蔓延してしまったら、五輪自体のイメージを大きく傷つけることになってしまいます。
「無観客開催」という選択肢も、実際上は採用が難しいと考えられます。
③東京五輪を「延期」
では、選択肢その3、東京五輪を「延期」して行うのはどうでしょうか。
選手・IOC・東京/日本のいずれにとっても、他の2つの選択肢よりは、消去法としてマシに思えます。
もっとも、実際に東京五輪を「延期」しようとすると、様々な論点をクリアする必要が出てきます。
延期後の実施時期
アメリカのプロスポーツは秋がハイシーズンであるため、延期するのであれば、1年後か2年後の夏が有力と言われています。
東京の夏の猛暑を考えれれば、選手にとっては秋の開催の方が望ましいはずですが、残念ながら大口スポンサーであるアメリカのテレビ局の意向には逆らえないでしょう。
新型コロナウイルスの感染の状況をみつつ、2021年や2022年の夏に行う様々な大会とのスケジュール調整が必要になります。
例えば、2021年夏には、陸上(米国)や水泳(日本)の世界選手権が予定されています。
他方、あまりに2024年に近づいてしまうと、今度は2024年のパリ五輪と日程が近づき過ぎる、という問題がでてきます。
選手選考
まだ予選がこれからの競技がある一方、既に五輪代表が決まっている競技も多いです。
延期の時期も含めて、こうした競技で選手選考をやり直すのかが、大きな問題になります。
既に代表が決まっている選手、今後実力・調子を上げていく選手、様々な感情が入り乱れる、とてもたいへんな調整になります。
競技施設、関係施設の確保
延期の場合、大会のための競技施設や関係施設について、改めて確保する必要が出てきます。
例えば、メインプレスセンター、国際放送センターが置かれる東京ビッグサイトについては、東京五輪のための借上げで、「展示場不足」が問題になっています。
延期して再び借上げとなれば、その費用や別途展示予定の業者への補償料なども発生します。
また、晴海の選手村(中央区)については、東京五輪の後に改修し、マンション(23棟、約5,600戸)として売り出す計画になっています。
入居の開始は、2023年3月。既に販売済みの物件も多く、住居予定者に対する補償も問題になります。
人員・ボランティアの確保
東京五輪の大会組織員会は、本番に向けて短期で雇用した人員も含めて、3,000名を超える職員を抱えています。
延期の場合、こうした人員・組織をどうするか、人件費をどのように工面・負担するか、が問題になります。
延期までの期間が長くなれば、人件費もどんどん積み上がっていきます。
また、合計11万人を(8万人の大会ボランティアおよび3万人の都市ボランティア)の人員を改めてどのように確保するかも問題になります。
感想です。
このように、東京五輪が「中止」・「無観客開催」・「延期」いずれの場合でも、問題点は山積みです。
しかし、消去法としては、やはり「延期」がもっとも望ましいのではないでしょうか。
人類が新型コロナウイルスの感染拡大を乗り越え、五輪の延期に伴う様々な問題もクリアし、皆で東京五輪の開催を祝える日が来るよう、心から期待したいところです。
記事をご覧いただき、どうもありがとうございました!