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「桜を見る会」の問題点を整理!【2020年最新解説】
2019年に明らかになり、大きな問題になった「桜を見る会」問題。
2020年の通常国会でも、野党は、安倍晋三・首相への追及を続ける姿勢を示しています。
そもそも「桜を見る会」の何が問題で、現在、どのような事柄が議論になっているのでしょうか。
この記事では、2020年の最新情報に基づいて、問題点を整理します!
「桜を見る会」とは:誰が、いつ、どこで開催?
「桜を見る会」は、歴代の内閣総理大臣が、春の恒例行事として主催してきたものです。
1952年に、当時の吉田茂首相が開催したのをはじめとして、毎年4月ごろに、東京都内の新宿御苑で開催されてきました。
自民党政権だけでなく、民主党政権であった2010年にも、鳩山首相が開催しています。
なお、2011年は同年3月の東日本大震災の発災、2012年は北朝鮮による弾道ミサイルの発射予告により、中止になっています。

(出所:一般財団法人国民公園協会)
招待客は、皇族や外国の大使、国会議員などの政財界関係者のほか、文化・芸能、スポーツなど各界から招かれてきています。
会では、慣例として、たる酒やオードブル、お菓子などが振る舞われているようです。
2019年には、4月13日に、安倍晋三が首相として開催しました。

「桜を見る会」を巡る問題:2019年中の動き
安倍政権下での予算支出額・参加者数の増加
最初の問題提起は、2019年5月13日の衆議院・決算行政監視委員会での宮本徹議員(共産党)の質問でした。
「桜を見る会」の費用が、第2次安倍政権の過去5年間(2014~18年度)で、予算額は約1,800万円で横ばいである一方、実際の支出額を、予算を上回って増加し続けています。
予算は、会場の設営や警備・飲食にかかる費用に使われます。
具体的には、2014年度の約3,000万円から、2018年度には、約5,200万円と予算の約3倍に上っています。
支出増の主な原因は、参加者の増加です。参加者は、2014年度の約1万3,700人から、2018年度には、約1万7,500人まで増加しています。
宮本議員は、参加者の増加から予算を上回る支出が増えていることについて、国民の理解が得られないと批判しました。

(出所:東京新聞、2019年5月14日朝刊)
招待客の基準が不透明①:安倍首相の後援会関係者を招待
その後、野党は、「桜を見る会」を巡る安倍政権の不透明な取扱いに対する追及を強めました。
まず、問題視されたのは、招待客の基準が不透明であり、安倍首相の地元の支援者が多数招待されていたことです。
「桜を見る会」は公費(税金)により賄われていますが、それを自分の支持者の接待に用いることは、「公私混同」・「私物化」であり不適切だ、との批判を受けました。
野党は、「公職選挙法で禁止されている買収と実質的に変わらない」とも批判しています。
この点、当初、安倍首相は、国会答弁で「招待客の取りまとめには関与していない」と説明していました。
しかし、その後、実際には、首相は約1,000人の推薦枠(昭恵夫人分も含む)を持っており、安倍事務所が地元で希望者を募り、内閣官房に名簿を提出していたことが判明。招待客の推薦に関与していたことを認めました。
ただし、安倍首相は、「桜を見る会」への招待者は、提出された推薦者に基づいて、最終的には内閣官房と内閣府が取りまとめているため、公職選挙法に違反する訳ではない、と反論しています。
安倍首相後援会による前夜祭の会費の取扱い
また、安倍首相後援会による支援者に対する「桜を見る会」のツアーには、前日の都内高級ホテルでの夕食会(前夜祭)も含まれていました。
この点、会費制であるにもかかわらず、主催した安倍首相の後援会の政治資金収支報告書に記載がなかった点が、野党から政治資金規正法違反ではないか、との批判を受けました。
また、高級ホテルでの開催にもかかわらず、会費5,000円/1人は安過ぎるとして、安倍首相後援会が実費との差額を補填したのではないか、差額の補填は公職選挙法に違反する、との疑問も示されました。
さらに、ホテルが通常の相場を大幅に下回る金額で飲食の提供を行っていたのであれば、政治資金規正法に違反する、明細書を開示すべきだ、とも批判しています。
この点、安倍首相は、夕食会の費用はすべて参加者の自己負担であるため、前夜祭の主催者である安倍首相後援会として報告すべき収支はなく、政治資金収支報告書への記載の必要はない、と説明しています。
また、前夜祭の価格設定については、出席者の多くが同じホテルに宿泊していること等を踏まえて、ホテル側が設定し、当該価格通りのサービスが提供されたに過ぎない、と説明。
さらに、明細書の開示についても、ホテル側から、営業の秘密に関わるため、公開前提の提供には応じられない、との報告を受けている、と突っぱねています。
招待客の基準が不透明②:反社勢力なども参加
さらに、その後、「桜を見る会」の参加者に、反社勢力が含まれていた事実が判明。
また、首相枠で、マルチ商法を展開して経営破綻したジャパンライフの元会長が招待されており、同社によるマルチ商法の宣伝に悪用されていたことも明らかになりました。
首相が主宰する会にもかかわらず、杜撰な運営が批判を集めました。
招待客名簿の廃棄
野党の追及に対して、政府は、招待客名簿は「廃棄した」ため、現存しないと説明。
もっとも、野党から資料提出を求められた直後に、内閣府の職員がシュレッダーで処分していた事実も判明。
野党は隠蔽ではないか、実際にはどこかに残存している可能性があるので再調査を行うべき、との批判を強めました。
これに対して、安倍首相は、招待者名簿は既に廃棄済みであると確認しており、改めて調査を指示する予定はない、と応対しています。
また、招待者名簿の電子データの廃棄時期が分かるログ(消去記録)については、「内容を明らかにすれば不正侵入等を助長する恐れがある」と述べ、セキュリティ上の理由で開示を拒否しています。
2019年11月、2020年の「桜を見る会」の中止を決定
こうした度重なる批判を受けて、11月13日、政府は、2020年の「桜を見る会」の開催を中止することを決定しました。
菅官房長官は、「招待基準の明確化、プロセスの透明化を検討する」必要がある、と中止の理由を説明しています。

「桜を見る会」を巡る問題:2020年入り後動き
公文書の不適切な取扱いが判明
2020年入り後、「桜を見る会」に関する公文書の不適切な取扱いが、次々に判明しました。
招待者名簿の管理簿への記載漏れ
まず、1月9日、菅官房長官は、2013年から2017年までの招待客の名簿について、管理簿に記載がなかったことを公表しました。
さらに、1月10日、こうした招待者名簿を管理簿に記載していなかったことについて、公文書管理法に違反する対応だった、と説明しました。
公文書管理法は、保存期間が1年以上の行政文書について、文書ファイルの名称や保存期間の管理簿への記載を義務付けています。
菅官房長官は、事務的な記載漏れ、と説明しつつ、再発防止に向けて管理体制の整備に取り組む考えを示しました。
国会提出資料への不適切加工
1月14日、菅官房長官は、2019年11月に、内閣府が国会に推薦者の名簿を提出した際に、推薦を行った部局名を隠す加工をしていた事実を公表しました。
加工の判断を行ったのは、内閣府の人事課の官僚だと説明し、「極めて不適切な対応。今後、このような行為は厳に慎むよう内閣府に強く指示した」と述べました。
これに対して、野党は、隠蔽工作であるとして強く批判しています。
内閣府の歴代人事課長に厳重注意処分
1月17日、内閣府は、上記のような公文書の不適切な取扱いを受けて、職員に対する処分を発表しました。
「招待者名簿の管理簿への記載漏れ」について、当時人事課長を務めていた5人を厳重注意処分としました。
また、「国会提出資料への不適切加工」については、実際に加工を行った現在の人事課長が厳重注意処分を受けました。
菅官房長官は、この処分について、「担当者レベルの問題が大きい」と説明。現場への責任の押し付けではないか、との質問は「全くない」と否定しています。
内閣府の公文書管理課長を交代
1月20日、内閣府は、「桜を見る会」に関する野党への説明を担当していた富永健嗣・公文書管理課長を交代させ、後任に杉田和暁・国立公文書館総務課長を充てる人事を公表しました。
富永氏は昨年7月に公文書管理課長に就任しており、任期1年弱、かつ公文書管理の問題点が指摘されている中での、異例のタイミングでの交代となります。
この点、内閣府は、「業務量が増大し、兼務する大臣官房参事官との両立が難しくなったため」と説明しており、西村明宏官房副長官は「個別の人事に関しては答えを差し控える」と述べています。
廃棄済みと説明していた過去資料が現存
1月21日、菅官房長官は、2011年~2013年の「桜を見る会」の会場設営の契約書などの資料が存在していることが判明した、と公表しました。
内閣府では、これらの資料について、これまで保存期間5年の文書として廃棄済み、と説明してきていました。
菅長官は、「不適切な対応であり、国会の関係者に丁寧に説明するよう指示した」としつつ、「公文書管理法への違反はない」と説明しています。

2020年通常国会でも、引き続き野党の追及ポイントに
2020年入り後も、次々と明らかになる「桜を見る会」問題。
野党は、1月20日に召集された通常国会でも、引き続き「桜を見る会」問題で政府・与党を追及していく姿勢です。
1月22日の安倍首相の施政方針演説に対する代表質問で、立憲民主党・枝野幸男代表は、「安倍政権の利権、私物化、隠蔽体質そのものを正さなければならない」と述べ、カジノ(IR)汚職疑惑と並んで、「桜を見る会」問題を、安倍政権の長期政権による緩み・奢りを象徴するものとして位置づけています。
1月23日の各党の代表質問でも、立憲民主党・山哲郎幹事長や共産党・志位和夫委員長が、「桜を見る会」問題を主なテーマとして取り上げました。
代表質問での追及 | 安倍首相の回答 |
公的行事の私物化、公職選挙法や政治資金規正法違反の疑いがかけられている
安倍首相は辞任すべき |
様々な批判があることは承知している
真摯に反省し、今後については、私自身の責任で全般的な見直しを幅広く意見を聞きながら行う |
首相の事務所が推薦した招待者の人数は?
事実上ノーチェックで招待したなら、血税を使った買収そのものだ |
具体的な人数は、名簿が廃棄され、定かでない
自身の事務所が推薦した者で、招待されなかった例もあったと承知している |
招待者名簿を破棄には、文書管理に違法な手続きや処理が行われた
組織的隠蔽だ |
公文書管理に関するガイドラインに則った対応と考えている
組織的隠蔽を図ったとの指摘は当たらない |
ジャパンライフ元会長の招待状にあった区分番号「60」は首相推薦枠だ
ジャパンライフ元会長を首相自身が推薦して招待し、マルチ商法の被害を広げた |
指摘の番号は便宜的に付しているもの。既に破棄しており、意味は定かではない
違法・不当な活動に利用されるのは決して容認できない |
安倍昭恵の私的「桜を見る会」問題
2020年3月26日には、安倍晋三の夫人・安倍昭恵が、私的「桜を見る会」を開催していたと報道されました。
ちょうど、森友学園問題での公文書改ざんを苦に自殺した赤木俊夫さんの手記が公表され、また、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するため花見の自粛要請が出ていたタイミングであったため、SNSでは大炎上となりました。
この点、安倍晋三は、安倍昭恵に事実関係を確認し、「レストランの敷地内にある桜を背景に記念撮影したものであり、東京都が自粛を要請している公園での花見の宴会ではない」ので問題はない、反論しました。
記事をご覧頂き、どうもありがとうございました!
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