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新型コロナ対応で「国会議員歳費を2割削減」へ
新型コロナ対応での自粛要請等で、多くの企業や家計が経営危機・収入減に苦しむ中、これまでのところ、国会議員の収入はマイナスの影響を受けていません。
4月7日の緊急事態宣言の際の首相の安倍晋三の記者会見でも、次のように発言して、国民一律への現金給付を否定して、多くの批判を受けました。
そしてまた、30万円の給付についてでありますが、自民党にも一律で給付した方がいいではないかという議論がありました。私たちも検討した。例えば私たち国会議員もそうですが、公務員も今、この状況でも全然影響を受けていない、収入には影響を受けていないわけであります。そこに果たして5万円とか10万円の給付をすることはどうなのだという点も考えなければならないのだろうと思います。ですから、本当に厳しく収入が減少した人たちに直接給付が行くようにしていきたいと考えました。
こうした国民の批判の高まりを受けて、遅まきながら、国会議員の歳費が、2020年5月から当面1年間、2割削減される方針が決まりました。
国会議員歳費5月から2割削減へ:当面1年間、自民と立民が合意
自民、立憲民主両党の国対委員長は14日、国会内で会談し、新型コロナウイルス感染拡大を踏まえ、国会議員歳費を当面1年間、2割削減する方針で基本合意した。与野党各党による協議の上、早期の法整備を図り、5月実施を目指す。自民の森山裕国対委員長は記者団に「非常に厳しい状況が続き、国民は苦労している。国会も国民と気持ちを一緒にすることが大事だ」と述べた。
立民の安住淳国対委員長も記者団に「各企業が相当な給与削減や経営難に陥り、税収も落ち込む。われわれ自身が範を示す措置は当然やらないといけない」と語った。
(共同通信)
では、国会議員の「歳費」とは何なのでしょうか?
その他の収入には、どのようなものがあるのでしょうか?
そして、「国会議員歳費を2割削減」により、実際、どれくらいの削減金額になるのでしょうか?
この記事では、こうした素朴な疑問について、わかりやすく解説します!
国会議員の歳費とは?その他の収入は?
国会議員の報酬(歳費+期末手当)
国会議員の収入については、「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」(歳費法)で定められています。
「歳費」は、普通の会社の急遽に当たります。歳費法により、国会議員の歳費は、月額約129万円と定められています(各議員の議長・副議長は増額)。
また、別途、夏と冬に、会社のボーナスにあたる「期末手当」が約635万円支払われます。
このため、国会議員の報酬(歳費+期末手当)は、約2,200万円に上ります。
企業では、年功序列で在籍期間によって給与が上がっていくことが多いですが、議員報酬については、初当選の新人議員であっても、当選を重ねたベテラン議員と同額が支払われます。
国会議員のその他の収入
さらに、国会議員には、上記の報酬とは別に、色々な経費も支払われています。
まず、「文書通信交通滞在費」。これは、公的文書の発送費や交通費のために支給される経費で、月額100万円(年額1,200万円)。
文書通信交通滞在費は、なんと、非課税扱いで、使途を報告する義務も免除されており、領収書扶養で使えます。
その気になれば私的に流用できてしまうため、「議員の第二の給与」と呼ばれることもあるんです。
また、「立法事務費」。立法作業のために必要な経費として、月額65万円(年額780万円)。
この立法事務費についても、収支の報告義務はありません。
さらに、公務での移動用に、JR無料パス(特殊乗車券)や無料航空券(国内定期航空券)も利用できます。
こうした権利をプライベートで使って、問題となった例もみられました。
さらに、公設秘書3人分の給与の支給や、政党交付金からの分配もあります。
国会議員の収入は全体でいくら?
上記の報酬やその他の収入全体で、議員の収入は、新人議員であっても、年間で7,000万円程度に上るのです。
さらに、議員によっては、企業献金や政治資金パーティでの収入もあります。
収入が億を超える議員も珍しくありません。
国民から選挙で選ばれているとはいえ、ほとんど仕事をしていないように見える国会議員も多い中、すごく高収入を得ていますね。
「国会議員の収入は高過ぎる!」という批判が強いのも、頷けます。
「国会議員歳費を2割削減」により削減される金額は?
国会議員の歳費については、東日本大震災(2011年3月)からの復興財源などを確保するために、2014年4月まで2割削減されていたことがあります。
具体的には、2012年5月から11月は復興財源に充てるために13%削減し、2012年12月から2014年4月の間は定数削減が実現するまでの措置としてさらに7%削減していました。
今回の「国会議員歳費を2割削減」については、この先例にならった形です。
しかし、対象になるのは、国会議員の収入を構成する「歳費+期末手当+その他の収入」のうち、「歳費」だけです。
ざっくり、月額約129万円から▲約26万円削減されて、月額約103万円になるイメージです。議員一人当たりで、年額▲約310万円。
ずっと寝ていても、年額7,000万円程度の収入があることを考えると、たいした金額ではありませんね。
国会議員の定数は、713人(衆議院:465人、参議院:248人)ですので、全体で年額▲約22億円です。
本当に「国会議員の身を切る覚悟を示す」に繋がるのか、アヤシイものです。
次のツイートも、頷き過ぎて、首が折れそうです。
こんだけ緊急事態だと言って民間には自粛を求め、それで国会議員は約2200万円の報酬に領収書抜きの経費年1200万と年720万円の使い方自由の事務費。加えて政党全体で350億円の政党交付金。これら全部税金。今こんなにもらうのは申し訳ないと思う国会議員は日本の国にはいないのか!
— 橋下徹 (@hashimoto_lo) April 13, 2020
「国会議員の歳費を2割削減」って、月129万円の歳費を103万円にしたところで、この他に「第二の給料」である文書通信費が月100万円、立法事務費が月65万円、甘利明や河井案里のように仮病で雲隠れしてても毎月300万円が振り込まれてるのに、そこから27万円ぽっち減額したって痛くも痒くもねえだろ?
— きっこ (@kikko_no_blog) April 14, 2020
感想です。
東日本大震災の時は、国会議員の歳費削減に続いて、「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」により、国家公務員の給与も、2年間▲約7.8%引き下げられました。
しかし、現在、厚生労働省をはじめ、霞が関の現場は非常に疲弊しています。特に、国会対応で擦り減っている、という話をよく聞きます。
国民に対してしっかり働いてもらうためにも、今回は、国家公務員の給与引き下げに繋げることは適当ではありません。
むしろ、「国会議員の身を切る覚悟を示す」ために、一段の歳費だけではない収入全体の削減や、議員定数の削減にまで踏み込んで欲しいものです。
我々国民としても、しっかり声を上げていきましょう。
記事をご覧いただき、どうもありがとうございました!
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