K-1強行開催を巡る発言:橋下徹・細野豪志・青木真也
中村拓己(K-1プロデューサー)
3月22日、政府や埼玉県の自粛要請を振り切って開催されたK-1大会。

多くの批判を招きましたが、中村拓己K-1プロデューサーは、次のとおり釈明しています。
しかし、建て前の説明のみで、結果的に新型コロナウイルス感染の爆発的な拡大(オーバーシュート)の起点になってしまったときに、1企業として責任を取れるものではありません。
強い批判を受けるのも当然です。
- 「もともと開催が決まっていたイベントで準備をしていた。いろいろあったが、最大限の予防策を講じて開催することになった」
- 「しっかり対策をして感染者が出ないようにする。もし、出た場合は迅速に対応したい」
- 「自粛の話題は出たが、開催の方向でさいたまスーパーアリーナとも話をして、予防策を講じることにより開催するということに至った」。そして「万全の対策ができるなら」と開催の決断になった。
- 「発表している大会をちゃんとやるのが我々の仕事」

青木真也(格闘家)
他方で、こうした強行開催の背景について、よりはっきり説明しているのが、格闘家の青木真也。

「要請を聞いたところで判断して、開催を選んだら、イベント前日に「自分たちは自粛を要請した」と表明するやり方をずるく感じてしまいます。中止命令にして、開催費用を負担するくらいのことをすればいいし、要請で中止した場合も損失補填を保証してくれたのであれば、状況も変わっていたはずです。」
という説明は、イベントを興行する立場からすれば、正論と言えるでしょう。
格闘技業界の人間です。
今大会はK-1最大級のビックイベントです。
格闘技イベントは簡単にイベントを飛ばせるほどに余裕のある状態ではないです。主催側も選手側も1イベントが飛んだときは生活を脅かすレベルで危機を感じます。
そこで自粛を要請をしても、要請であって、やるかやらないかは主催者が決めることです。当然、今の利をとってやる判断もあるだろうし、リスクを考えてやらない判断も正解です。
要請を聞いたところで判断して、開催を選んだら、イベント前日に「自分たちは自粛を要請した」と表明するやり方をずるく感じてしまいます。中止命令にして、開催費用を負担するくらいのことをすればいいし、要請で中止した場合も損失補填を保証してくれたのであれば、状況も変わっていたはずです。
イベント側の言い分も聞いて、いいところで着地させてほしいところです。
命賭けてイベント作っているので、やらずに死ぬのであれば、やって死ぬとなるのは僕は理解できます。
格闘技業界の人間です。
今大会はK-1最大級のビックイベントです。
格闘技イベントは簡単にイベントを飛ばせるほどに余裕のある状態ではないです。主催側も選手側も1イベントが飛んだときは生活を脅かすレベルで危機を… #NewsPicks https://t.co/A72TkptRkI— 青木真也 shinya aoki (@a_ok_i) March 22, 2020
橋下徹・細野豪志(政治家)
こうした「自粛要請」、「中止命令・指示」、「補償」の関係について、明確に整理しているのが、橋下徹・細野豪志のツイートです。
まず、細野豪志が、自粛要請の限界についてツイート。
「法に基づかない自粛要請はこれが限界か」とツイート。「更に危機的状況になったら、緊急事態を宣言し中止を指示するしかない。私権を制限することは国家の権限を強めることの裏返しだが、危機においてはデュープロセスに基づいてやるしかない。それが国民を守ることだ」
法に基づかない自粛要請はこれが限界か。更に危機的状況になったら、緊急事態を宣言し中止を指示するしかない。私権を制限することは国家の権限を強めることの裏返しだが、危機においてはデュープロセスに基づいてやるしかない。それが国民を守ることだ。https://t.co/7zJvQzFy1u https://t.co/BKPwmWn8zT
— 細野豪志 Goshi Hosono (@hosono_54) March 22, 2020
これに対して、橋下徹が、国の自粛要請は、補償を回避しつつ事実上のプレッシャーをかける「究極の悪知恵」と断じ、「埼玉アリーナで感染拡大すれば政治の責任」とコメント。
必要な場合には、国が「命令」したうえで、正当な「補償」を行うべき、とします。
法に基づかない要請も、法に基づく指示も国民に対する影響力は同じ。どちらも罰則がないのに、国民は普通従う。権力からの要請はそれほど影響力があるので法で縛る必要がある。実際、権力側には法に基づかず中止させようとする意図があった。法に基づく指示は区域、期間、種類を定めなければならない。 https://t.co/5cxvZnPJtG
— 橋下徹 (@hashimoto_lo) March 22, 2020
ところが法に基づかない要請は何も定めることなく権力側のフリーハンド。国民からすると法に基づかない要請の方がよほど強権的。そして政府は何も責任を取らない。今回、K1イベント埼玉アリーナで感染拡大すれば政治の責任。社会防衛のために止めるなら「命令」の上、正当な補償を。憲法29条3項。
— 橋下徹 (@hashimoto_lo) March 22, 2020
法があくまでも要請にとどめているのは補償を回避するため。憲法29条3項に抵触しないように各国「要請」にした。ところが政治行政は事実上のプレッシャーをかけて中止に追い込む。そして補償はしない。究極の悪知恵。
— 橋下徹 (@hashimoto_lo) March 22, 2020
この橋下徹のコメントに、細野豪志も賛意を示し、「個人の人権」か「国家の安全」か、というジレンマの議論から逃げてはならない、とべました。
法に基づいて中止を要請し、従わない場合は指示。中止で生じた損害は補償というのが本来の姿だと思います。橋下さんが指摘する通り、法に基づかない要請の方が「強権的」で「悪知恵」かも知れないが、K1開催でその限界が露呈した。 https://t.co/7gReTqXzfJ
— 細野豪志 Goshi Hosono (@hosono_54) March 22, 2020
戦後の我が国は、「個人の人権」か「国民の安全」かというジレンマに直面したことがほとんどなかった。危機管理においては、国民の安全が優先されるべき場面がある。立憲主義や法の支配を守るためにも、この議論から逃げない方がいい。 https://t.co/BuIDFG43sK
— 細野豪志 Goshi Hosono (@hosono_54) March 22, 2020
空気や同調圧力に頼らない正面からの議論が重要!
私も、K-1強行開催には、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、反対でした。
しかし、頭の整理ができずにモヤモヤしていたところ、3人のコメントで、すっきりしたように思います。
やはり、日本では、誰も責任を取らない下で、「皆が我慢しているんだから、勝手にふるまう奴が悪い」という「空気」や「同調圧力」に頼って、物事が進みがちです。
しかし、新型コロナとの戦いは、長期戦になるでしょう。
こうした、「空気」や「同調圧力」に頼ったやり方では、皆で団結して、この戦いに勝つことはできません。
国の財政の負担をどうするかや、「個人の人権」か「国家の安全」かのジレンマなど、難しい問題が山積していますが、逃げずに、損失補償も含めた正面からの対応が必要な局面になっていると思います。
この事件をきっかけに、正しい方向に議論が進んでいくことを期待しています。
記事をご覧いただき、どうもありがとうございました!
<この記事を読んだ人は、以下の記事も読んでいます!>
ロックダウン・東京封鎖・緊急事態宣言はいつから?【4月6日】からの実施と予想!
ロックダウン・東京封鎖とは何か?政府の緊急事態宣言との関係は?【最新解説】
「コロナファイターズ」は黒岩祐治・神奈川県知事の命名!ステッカーも作成するがSNSの反応は微妙・・・
K-1東京・後楽園ホール「Krush.112」は無観客大会に!小池百合子・東京都知事の要請に応じる!
橋下徹・細野豪志・青木真也のK-1強行開催を巡る発言が正論!空気や同調圧力に頼らない正面からの議論が重要!
宝塚歌劇団が公演再開!コロナ感染拡大が続く中での自粛解除に賛否両論が噴出!
K-1 WORLD GP 2020 JAPAN ~K’FESTA.3~をコロナでも決行。主催者M-1スポーツメディア、中村拓己プロデューサー!