5月8日から、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で売上が減少した中小企業・個人事業主への「持続化給付金」の振込みが始まりました。
また、東京都の感染拡大防止協力金など、各都道府県では、休業要請に応じた中小企業・個人事業主に「休業協力金」が支払われています。
しかし、こうした「持続化給付金」や「休業協力金」には、税金がかかるんです。
これに対して、全国民一律に10万円を配る「特別定額給付金」(10万円給付金)には、税金はかかりません。
この記事では、こうした違いやその理由について解説します。そのうえで、持続化給付金や休業協力金を非課税にするよう訴えたいと思います。
Contents
基本的な考え方
国や地方自治体から支給されるおカネに関する税金の取扱いは、次のとおりです。
【原則】
国や地方自治体から支給されるおカネは、税金の計算上、収入に含められる(=課税対象になる)。
【例外】
法律で、特別にこのおカネには税金はかけない、と決めると、非課税になる。
給付金・助成金など、言い方や種類は色々とありますが、基本的な考え方は同じです。

持続化給付金・休業協力金・10万円給付金に関する税金の取扱い
持続化給付金:課税対象
持続化給付金については、非課税とする法律はありません。このため、税金がかかります。
所管している経産省は、持続化給付金に関する税金の取扱いについて、次のように説明しています。
Q15.持続化給付金は課税の対象となるのか。
持続化給付金は、極めて厳しい経営環境にある事業者の事業継続を支援するため、使途に制約のない資金を給付するものです。
これは、税務上、益金(個人事業者の場合は、総収入金額)に算入されるものですが、損金(個人事業者の場合は必要経費)の方が多ければ、課税所得は生じず、結果的に課税対象となりません。
「税務上、益金(…)に参入される」というのが、税金がかかります、という意味です
もっとも、「損金(…)の方が多ければ、課税所得は生じず、結果的に課税対象になりません」というのは、1年間の全体の収支(=収入-費用)がマイナスになれば、結果的に税金を払う必要はない、ということを言っています。当たり前ですよね。
逆に言えば、うまく事業を継続できて1年間の収支をプラスで終えられたら、もらった持続化給付金の分には、税金がかかってしまうわけです。
はっきり税金がかかる、とは言いたくない気持ちがあるのでしょうが、ちょっと、と言うか、だいぶわかりにくい書き方になってしまっています。
休業協力金:課税対象
休業協力金についても、非課税とする法律はありません。このため、税金がかかります。
東京都は、休業協力金(東京都では「感染拡大防止協力金」と言います)に関する税金の取扱いについて、次のように説明しています。
感染拡大防止協力金における税務上の取扱いについて
都は、国に対して非課税としていただけるよう要望しておりましたが、法令に則ると、所得税や法人税の計算上、収入金額や益金に加える必要があるとのことでした。
ただし、収入の減少や各種経費の支払などによって、協力金の支給額を含めてもなお赤字となる事業者については、課税所得は生じないこととなります。
所得税や法人税に関してご不明な点等ございましたら、所轄の税務署までお問い合わせください。
東京都から国(財務省)に対して、非課税にするよう要望したがダメだった、という説明です。
結果的に年間収支がマイナスになれば税金を払う必要がないのは、持続化給付金と同じです。
10万円給付金(特別定額給付金):非課税
これに対して、10万円給付金については、法律(新型コロナ税特法)で非課税にすると定められています。
このため、10万円給付金には、税金はかかりません。所管している総務省も明言しています。
特別定額給付金は、課税対象となりますか。
特別定額給付金は、法律により非課税になりますので、課税されません。
まとめ
国税庁では、次のとおり、新型コロナ関係で国や地方自治体から支給されるおカネに関する税金の取扱いについてまとめています。
細かくて見にくいですが、ポイントは、これまでの説明のとおりです。

MASAの意見:持続化給付金・休業協力金を非課税に!
持続化給付金や休業協力金についても、非課税にする法律を作れば、税金がかからないようにすることが可能です。
現在、持続化給付金や休業協力金を課税対象にしている理由は、支給対象外の人や営業を継続しているお店との間で不公平になるから、という説明です。
お店を開いてお客さんから得た収入には、当然税金がかかります。
一方で、収入が減ったりお店を閉めたりして、国や地方自治体からもらえるおカネには税金がかからないのは公平ではない、というわけです。
これに対して、10万円給付金については、皆に一律に給付されるので、こうした公平性の問題は出てこない、という説明です。
しかし、新型コロナウイルスによる売上急減や、休業要請に応じてお店を閉じざるを得ないのは、本人の努力のレベルを超えたものです。
また、課税することによって、税金がかかるのであれば休業要請に応じずに店を開いて営業する方が得だ、となってしまいますので、自粛要請の実効性を下げてしまいます。
現在の緊急事態では、他の事業者との公平性よりも、しっかりと自粛できるように支援する方が優先順位が高いはずです。
現在、国では、コロナに対応した経済対策の第2弾(2020年度第2次補正予算)に向けた準備を進めています。
緊急事態宣言を5月末まで延長し、さらに国民に負担を強いる以上は、持続化給付金や休業協力金を非課税にするべきだと考えます。
記事をご覧いただき、どうもありがとうございました!
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