持続化給付金を巡る不透明な外部委託が炎上している一般社団法人サービスデザイン推進協議会と電通。
サービスデザイン推進協議会は、2016年5月に、電通(広告代理店)のほか、パソナ(人材派遣)やトランスコスモス(IT運営)が設立しました。
特に、電通は、持続化給付金の事務局事業で、協議会が受け取る769億円のうち、97%にあたる749億円の再委託を受けるなど、存在感が圧倒的です。
では、電通は、国の事業から、どのくらい儲けているのでしょうか?
この記事では、電通の決算公表資料から確認します。
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電通の国の事業からの売上:圧倒的伸び率で急成長!
2019年度決算:1,028億円
電通の2019年度決算(2019年1月~12月)をみると、「官公庁・団体」からの売上高は1,028億円。
業種別売上高は、「情報・通信」、「金融・保険」、「飲料・嗜好品」、「化粧品・トイレタリー」に続いて、5位となっています。
特に、前年同期比の成長率は+79%と、全業種の中で圧倒的にトップです。

(出所:電通グループ IR情報)
2020年度第1四半期決算:
こうした傾向は、2020年度第1四半期決算(2020年1~3月)でも変わりません。
「官公庁・団体」からの売上高は328億円で、業種別売上高はやはり5位にランクイン。
前年同期比の成長率も、+70%と全業種の中で圧倒的にトップです。

(出所:電通グループ IR情報)
電通と経産省の癒着への疑惑が深まる!【持続化給付金の外部委託】
電通の主要ビジネスである広告事業は、インターネット化や国民の嗜好の多様化やインターネット化が進む中、不振が続いています。
こうした下で、電通のビジネスの中で、国の事業は、重要な収益の柱になっているわけです。
6月8日の持続化給付金の外部委託を巡る記者会見で、電通副社長の榑谷(くれたに)典洋は、次のように話しています。
「電通は広告会社ではない。(問題を解決する)ソリューション提供企業だ」
「管理費は10%で、通常行う業務に比べて低い営業利益になる。不当な利益を得るには不可能な構造だ」
「(電通が直接受託しなかった理由について、)巨額の預かり金を会社のバランスシートに計上するのは不適切と社内で判断した。給付が完了した振り込みを通知するハガキの差出人が『株式会社電通』では戸惑いを招く」
しかし、国の事業は、利益率が低くても、金額の規模が非常に大きいわけです。
また、個別の事業だけではなく、様々な国の事業の「総合採算」で評価しているはずです。
このため、「国の事業は儲からない」という電通側の説明を、額面どおり受け取ることはできません。
実際、サービスデザイン推進協議会は、これまで経産省から「おもてなし規格認証」、「サービス等生産性向上IT導入支援事業」など14事業を受託しており、電通が中心となって再委託を受けています。
本当に儲からない事業なのであれば、これだけ繰り返し電通が国の事業を引き受けていることが正当化できなくなってしまいます。
国(経産省)の立場としても、公務員の数が減っていく中で、全国規模の大規模な事業を回していくために、電通の存在は非常に便利でしょう。
結局、電通と経産省はお互いに利益が一致するわけです。
不透明な外部委託の構造の下で、電通と経産省の癒着の疑惑は一段と深まっています。
MASAの意見
国が民間の知見を活用することは大事ですし、電通が国の事業を引き受けること自体が悪いわけではありません。
しかし、予算の規模も巨額になる中、国民に対して透明性の高い形で予算を執行しないと、電通と経産省の癒着への国民の疑惑は、深まるばかりになってしまいます。
今回の騒動を機に、しっかりと説明責任を果たせるよう改善を行ってもらう必要があります。
記事をご覧いただき、どうもありがとうございました!
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